花瓶の中に光を通さない

ガラスの花瓶などでは、直射日光などで花瓶の中に発生した藻やカビなどが光合成して繁殖しやすくなります。一方、備前焼の花瓶は日光を遮るので、花瓶の水特有の生臭さになる原因の藻やカビの繁殖が抑えられることにより、水の劣化を遅らせることができるのです。

表面加工に釉薬（ゆうやく）を使っていない

釉薬は単に釉（うわぐすり）と呼ばれることもある、陶器の表面にガラス質のツルツルの膜を作るための加工に使われる薬剤です。備前焼花瓶の内側は釉薬を使っていないので、花瓶の内側に細かな凹凸がある自然の土や石に似た状態です。この凹凸があることで無機イオンが溶出しやすくなり、水の浄化に役立ちます。

また、極微細な気孔があって若干の通気性が保たれることも、花が長持ちする理由の1つです。花瓶の中に備前焼のかけらを入れるだけでも一定の効果はありますが、備前焼の花瓶に生けることに比べると効果が限定的です。

少ない水でも安定する

花瓶に入れる水は、切り花の茎の切り口が浸かれば十分だということを知っていますか。生け花などを見れば分かるように、花の茎を水に深く浸す必要はないのです。茎を水に浸すと水に浸かった部位の茎が傷んで枯れたり腐ったりする原因になります。

軽いプラスチックの花瓶などでは水を多く入れないと花瓶が安定しませんが、どっしりとした備前焼の花瓶なら、少ない水でも安定して花を生けることができるので、お花に優しい生け方をすることができるのです。

花瓶の中と周辺の温度の変動を抑える

備前焼の花瓶には、極微細な気孔があるのでわずかに通気性があります。そのため、暑い季節に水がわずかに蒸発する際に周辺の熱が気化熱として吸収され、花瓶の中と周辺の温度の変動を抑えてくれるでしょう。切り花は暑さを嫌いますが、備前焼の花瓶は花瓶の中と周辺の温度の上昇を抑えることで花を守ってくれているのです。

花瓶の周辺の湿度を保つ

切り花は乾燥した環境も嫌います。備前焼の花瓶の極微細な気孔によるわずかな通気性は、花瓶周辺の湿度を保ってくれる効果もあるのです。

備前焼の花瓶や一輪挿しは機能的なだけでない

備前焼の花瓶は花の美しさを最大限に引き出します。そのため素朴な野の花を一輪飾るだけでもインテリアのアクセントになります。自然の土や石に似た風合いでありながら、スタイリッシュでおしゃれな花器もあるのです。備前焼 陶吉では、花瓶、一輪挿し、花入れなど、多彩な花器の作品を取り揃えています。